新年度がスタートしましたが、年度が替わる時期には、多くの制度変更が行われます。
厚生労働省が管轄する制度においては、どのような変更が行われたのでしょうか。企業実務に関連ある事項を中心に紹介します。対応に漏れがないか確認しておきましょう。
◆◆ 厚生労働省関係の主な制度変更(平成29年4月~) ◆◆
1 雇用・労働関係
□ 雇用保険率の引き下げ
雇用保険率を引き下げ。一般の事業にあっては次のとおり。
●平成28年度:1,000分の11(被保険者負担分1,000分の4/事業主負担分1,000分の7)
●平成29年度:1,000分の9(被保険者負担分1,000分の3/事業主負担分1,000分の6)
□ 次世代育成支援対策推進法施行規則等の改正の施行
次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみん認定)及び特例認定(プラチナくるみん認定)の基準を見直し。
また、女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし認定)、若者雇用促進法に基づく認定(ユースエール認定)の基準も見直し。
2 社会保険関係
□ 平成29年度以降の在職老齢年金
平成29年度以降の厚生年金保険の在職老齢年金に関して、60歳台前半(60歳~64歳)の「支給停止調整変更額」と、60歳台後半(65歳~69歳)・70歳以上の「支給停止調整額」を、法律に基づき引き下げ。
●平成28年度まで:47万円 ➡ 平成29年度以降→46万円
〈補足〉60歳台前半の支給停止調整開始額(28万円)については変更なし。
☆ この変更により、年金の支給額が減る(支給停止額が増える・新たに対象となる)という可能性があります。また、そもそもの年金額も、物価などの変動に応じた自動改定で0.1%引き下げられています。
□ 子ども・子育て拠出金率の引き上げ
子ども・子育て拠出金率を引き上げ。
●平成28年度:1,000分の2.0 ➡ 平成29年度:1,000分の2.3
〔確認〕子ども・子育て拠出金は、厚生年金保険の被保険者を使用する事業主が、全額負担し納付する拠出金。その額は、使用する被保険者個々の標準報酬月額及び標準賞与額に、「子ども・子育て拠出金率」を乗じて得た額の総額となります。
☆ 子ども・子育て拠出金率が引き上げられました。本年4月分(5月納付分)以降の納付額を計算する際、率の変更に注意しましょう。