高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの就業機会を確保するため、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置として、定年引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使が同意した上での雇用以外の創業支援等措置の導入のいずれかを講じることが努力義務化されました(令和3年4月~)。
厚生労働省からは、この改正に関するQ&Aが公表されていますが、その中には、就業規則を題材としたものもあります。確認しておきましょう。
―― 高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者就業確保措置関係)/就業規則について ――
Q 65歳以降70歳までの就業確保措置を講じる際に、就業規則を変更する必要はあるのでしょうか。
A 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、法定の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないこととされており、また法定の事項について変更した場合についても同様とされています(労働基準法第89条)。
定年の引き上げ、継続雇用制度の延長等の措置を講じる場合や、創業支援等措置に係る制度を社内で新たに設ける場合には、同条の「退職に関する事項(同条第3号)」等に該当するものとして、就業規則を作成、変更し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。
なお、創業支援等措置を講じる場合には、就業規則の変更とは別に、創業支援等措置の実施に関する計画を作成し、過半数労働組合等の同意を得る必要があります。
この計画については、届け出る必要はありません。
☆ 高齢化が進む我が国において、ベテランの知識や技能を活用していくことは不可欠です。積極的に高年齢者就業確保措置を導入していくことが、企業にとって最善といえるかもしれません。
導入するとなると、上記のとおり常時10人以上規模の事業場では、就業規則の作成・変更などが必要となりますので、お声掛けください。
改正の内容はもちろん、就業規則の変更についても、説明をさせていただきます。
令和3年度の雇用保険料率 前年度と同率に据え置き
雇用保険料率は、労使折半で負担する失業等給付・育児休業給付の保険料率に、会社が負担する雇用保険二事業の保険料率を加えたものです。
毎年度、雇用保険の状況を勘案して、一定の範囲内で変更することが可能とされていますが、本年度は、前年度と同率に据え置くこととされました。
―――――――――――― 令和3年度の雇用保険料率を確認 ―――――――――――
- 令和3年度の雇用保険料率と負担の内訳(令和2年度と同率に据え置き)
内 訳
事業の種類 |
雇用保険率 | 失業等給付・育児休業給付の料率 | 二事業の料率 | |
被保険者負担分 | 事業主負担分 | |||
一般の事業 | 1,000分の9 | 1,000分の3 | 1,000分の3 | 1,000分の3 |
計 1,000分の6 | ||||
農林水産業・
清酒の製造の事業 |
1,000分の11 | 1,000分の4 | 1,000分の4 | 1,000分の3 |
計 1,000分の7 | ||||
建設の事業 | 1,000分の12 | 1,000分の4 | 1,000分の4 | 1,000分の4 |
計 1,000分の8 |
☆ 雇用保険に関する保険料のうち、雇用保険二事業に充てる部分は、事業主がその全額を負担しています。
なお、労災保険率は、全額会社負担です。業種に応じて定められていますが、これについても、メリット制の適用がない限り、前年度と同率に据え置くこととされました。