【判例】日本IBM事件(退職勧奨)

● 概 要

・会社は業績不振と将来の見通しの不透明さを踏まえ退職勧奨を実施した。

・退職勧奨に応じた際の条件は、最大15ヵ月分(給与額)の支援金の支給と再就職支援会社の費用の全額会社負担であり比較的手厚かった。

・対象者は、業績の低い者から選出し、退職勧奨を実施する担当者には人格を傷つけるような言動をしないなど適正な面談を実施できるように研修を実施した。

・従業員Xら4人は、会社がXらに対して行った退職勧奨が違法な退職強要であり、これにより精神的苦痛を被ったとして損害賠償を求めて訴えた。(各自300万円)

・東京地裁は会社の退職勧奨は違法でないとして請求を棄却した。

 

● 解 説

“退職勧奨(タイショク カンショウ)”とは聞きなれない言葉ですが従業員に自発的な退職を促す行為(説得活動)のことで、これに応じるか否かは従業員の自由な判断にゆだねられます。

これに対して一方的に会社から退職を通告するのが“解雇”です。

 

退職勧奨の中身が従業員に不当な圧力を加えるものや名誉感情を不当に害するものの場合は、違法な退職勧奨とされます。

今回の判決では、これらの違法行為は認められないとしつつ、さらに一歩踏み込んだコメントをしています。

 

 ①従業員が退職勧奨に消極的な意思を示したとしても、直ちに説得活動を止める必要はない。    

 ②退職勧奨を通じて従業員が不快感や苛立ちなどを感じてもそれを持って直ちに違法となるものではない。 

 

会社に残るデメリットを説明すること、応じない理由を聞くこと、再検討を求めることは許されています。

さらにその中で戦力外と告知して従業員が衝撃を受けることも違法とは言えないとしています。

 

いきなり“解雇”とすると感情面の対立が生まれやすく、労働組合等を巻き込んだ争いに発展する可能性が高まります。

退職勧奨については、ある程度の許容範囲が会社に認められていると考えられますので、解雇対象者がいる場合にはじっくり話し合いをして円満に雇用関係の終了に持っていくことをおすすめします。

 

 

 


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