【判例】ハマキョウレックス事件(雇用形態の違いによる格差)

● 内 容

ハマキョウレックス事件(雇用形態の違いによる格差)   大阪高裁 平成28年7月26日

 

● 概 要

・会社は、一般貨物自動車運送事業をしており、配送ドライバーとして正社員、契約社員の雇用形態があった。

・会社の取り決めで、正社員には各種手当を支給したが、契約社員には支給していなかった。

・契約社員であった従業員は、正社員と契約社員の間で同じ仕事をしているにも関わらず差があるのは違法だとして、正社員と同様の手当の支給を求めて訴えた。

・一審では、“交通費”の支給内容に格差がある点のみ不合理として、その差額の支払いを命じた。

・この内容に不満をもった双方が控訴したところ、高裁では“交通費”だけでなく他の手当にも不合理なものがあるとして77万円の損害を認めた。(上告あり)

 

● 解 説

多くの会社で、正社員、契約社員、パートタイマー等、様々な雇用形態を持っていると思います。

そして、正社員には○○手当を払うが、契約社員には払わない等と取り決めを行い、正社員以外の雇用形態の方の給与水準を基本的に低く抑えているのではないでしょうか。

 

本来、その労働条件に納得して入社しているので特に問題はないのですが、平成25年に正社員と契約社員の労働条件に不合理な差をつけたらダメという法律ができてから状況が変わりました。

当時は、不合理という曖昧な表現もあり、あまり関心を持たれなかった法律ですが、労働法を中心に取り組んでいる弁護士さんが「この法律は会社にとってかなり厳しい。」と話していたことが最近現実的になってきました。

 

労働条件の相違が不合理と認められるかは以下の点を考慮して判断されます。

①職務の内容(業務内容および責任の程度)

②配置の変更の範囲

③その他の事情

 

さて、この判例の一審では、正社員には出向、業務変更、転勤、教育を受ける義務があるので、手当等に差があっても仕方ないが、交通費に差があるのはおかしいという判断にとどまりましたが、高裁では、無事故手当、作業手当、給食手当が契約社員に支給されないことも不合理と判断されました。

このような流れを見ると、今後“不合理”と認定される範囲は広がっていくのではないかと想像できます。

今一度、各種手当について、どのような趣旨で支給しているか、なぜ正社員以外には支給しないのかを合理的に説明できるかを確認してみましょう。

 

 

 

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