【判例】うつ病による自殺に対する損害賠償請求

● 内 容

うつ病による自殺に対する損害賠償請求   高松高裁 平成27年10月30日

 

● 概 要

・会社は徳島に所在し、従業員は10年以上勤務していた。

・従業員は、東京にある子会社への出向を命じられ単身赴任となった。

・直後にうつ病になり休職し療養をしていた。

・その後、出向を解かれ元の職場に復帰するも、休暇をともなう療養が続き自宅で自殺を図った。

・遺族は、出向先と出向元に対して訴えを起こし、約1億円の損害賠償を請求した。

・地裁では出向先の責任を認め約6,500万円の支払いを命じた。

・会社は、この判決を不服して控訴した。

・高裁では、会社は業務軽減の措置を行っていたとして、遺族の請求を退けた。

(地裁の判決を取り消した)

 

● 解 説

今回のケースは、一審と二審で異なる判決がでました。

一審の地裁では、与えられた仕事が達成困難な納期であったとして、この業務指示がうつ病を発症させたと結論付けました。

( 無理な業務指示 = 安全配慮義務違反 )

よって、無理な業務指示をした出向先の責任を認め賠償を命じました。

 

一方で、二審の高裁では、過労等による精神状態の悪化は、ある程度の期間を通じて徐々に進むものであるから、特定の業務指示のみに着目するのでなく、その後の業務負担の軽減措置をも考慮して、予見可能性等を含めた安全配慮義務違反の有無を判断すべきものとの考えに立ちました。

 

そして、今回のケースでは一旦無理な業務指示を出しているが、その後、従業員からの希望に応じて支援体制を整えるとともに納期の延長をするなど十分な措置を図ったと判断しました。

よって、安全配慮義務違反にあたらないとして従業員(遺族)側の請求を退けています。

 

実際に仕事に絡み命を落としてしまうケースは、事故なども含めれば全く想定ができないものではありませんし、現実に多くあります。

しかし、その際にすべてが裁判上の争いにまで発展しているわけではありません。

 

今回のケースでは、従業員(遺族)側は、会社側の「暇なのは君だけ。」「休暇中に水泳ができるとはいい身分だな。」などの発言も問題視していました。

証拠がなく裁判では認めらなかったですが、こういった発言があったとすれば、それが遺族の感情を「お世話になりました。」か「ひどい目にあわされた。」を分ける大きな分水嶺だったのではなうでしょうか。

 

言葉一つ一つの重さを認識させられる判例だと思います。

 

 

 

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