【判例】日新火災海上保険事件(労働条件の明示)

● 判 例

日新火災海上保険事件(労働条件の明示)  東京高裁 平成12年4月19日

 

● 概 要

・従業員は会社の求人募集に応募して採用され、中途入社として勤務していた。

・会社は、求人募集を行う際に、「同年代の新卒採用で入社した社員と同様の給与額を支給する」と求人誌に記載していた。

・従業員は、同年代の社員の平均水準の給与をもらえると認識していたが、実は同年代の社員の下限に設定されている事実を入社1年後に知った。

・従業員は、「本来もらえた平均水準の給与との差額」と「精神的苦痛を受けた慰謝料」を求めて訴えを提起した。

・地裁では、従業員の請求を棄却したが高裁は従業員の要求を一部認めた。

 

● 解 説

採用の過程で、労働条件についてしっかり詰め切れておらず、揉めてしまうケースはよくあります。

今回の判例では2つ争点になっています。

 

 ① 本来もらえた平均水準の給与との差額 

・求人広告は、それをもって雇用契約の申し込みの意思表示と見ることはできない

・会社が給与の具体的な額や格付けを明示した様子がない

⇒従業員の主張する金額で合意しているとは認められない(差額の支払いは不要)

 

 ② 精神的苦痛を受けた慰謝料 

・会社は、採用の際に労働条件を明示する義務を怠っている (労基法15条違反)

・採用担当の説明は、あえて十分な情報を与えず従業員に誤った理解をさせかねないもので

信義誠実の原則に反する

⇒会社の不法行為を認める(慰謝料の支払いは必要)

 

また、この件で従業員が労働基準監督署に相談に行ったことをきっかけに、会社は従業員を印刷室に配置転換を命じたことも不法行為とされ、これらを合わせて100万円の慰謝料と算定されました。

 

人を採用する目的は、一緒に戦う仲間を増やすことですから、面接や選考の段階から信頼関係作りを始める必要がありますね。

“とりあえず人数を確保”という採用にはならないように気を付けましょう。

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