【判例】阪急トラベルサポート事件(事業場外みなし制度の判断)

● 判 例

阪急トラベルサポート事件(事業場外みなし) 最高裁 平成26年1月24日

 

● 概 要

・会社は、労働者派遣業を営み、旅行業者へ派遣を行っていた。

・従業員は、ツアーの実施期間のみ会社と雇用契約を結び、添乗員として派遣されていた。

・会社は、ツアーの添乗員の仕事は労働時間の算定ができない業務として、「事業場外みなし労働時間制」を適用し、残業代はあらかじめ定めた3時間分/日のみを支給していた。

・従業員は、添乗員の仕事は「事業場外みなし労働時間制」に該当しないとして、実際の労働時間に相当する残業代を請求した。(3時間/日以上の残業があった)

・裁判所は、従業員の主張を認め、会社に残業代の支払いを命じた。

 

● 解 説

ツアーの添乗員には、「事業場外みなし労働時間制」を適用できるという旅行業界の常識を根底から覆すような判決がでました。

会社から見ても、これが否定されると今後の事業活動に多大な影響があるため、必死に最高裁まで争ったと考えられます。

 

「事業場外みなし労働時間制」とは、社外(事業場外)で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときに、あらかじめ定めた時間を労働したとみなし、それに従い賃金を支払う仕組みです。

(例)10時間と定めていれば、実働が7時間でも13時間でも10時間労働とみなす。

 

今回、事業場外みなし労働時間制と認められないと判断されたポイントは以下の通りです。

① ツアーの行程表に従うため、添乗員自らが決定できる事柄の範囲は限定されている

② 携帯電話の所持とトラブル発生時は会社から指示を受けることが求められている

③ 添乗日報により、詳細かつ正確な報告を求めており、行動の確認ができる

 

「事業場外みなし労働時間制」は、外回りの営業職においても、よく活用されていますが、携帯電話を持っていない社員はいないでしょうし、日報を書かせない会社も少ないと思います。

よって、「事業場外みなし労働時間制」は形骸化した制度になったと言えます。

 

この最高裁判決を受けて、「事業場外みなし労働時間制」に絡む紛争は、労働者側弁護士やユニオンから見ると非常に魅力的なターゲットになりました。

「事業場外みなし労働時間制」を導入している場合は、あらかじめ定めた時間と実際の労働時間を一度チェックし、かい離がある場合は改善策を打つ必要があります。

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