【判例】茨城石炭商事事件(従業員への損害賠償請求)

● 判 例

茨城石炭商事事件(損害賠償請求) 最高裁 昭和51年7月8日

 

 

● 概 要

・会社は石油等の輸送、販売を業とする企業であり、タンクローリー等を20台近く保有していた。

・会社は経費削減のため、これらの車両について対物賠償責任保険と車両保険には加入していなかった。

・従業員は、主として小型貨物自動車の運転業務に従事していたが、特命的にタンクローリーに乗務することがあった。

・従業員は、タンクローリーの運転中、前方不注意により前の車に追突し双方の車を破損させた。

・会社は、従業員にこれらの修理代の『全額』を請求した。

・裁判所は、請求額の4分の1のみを認めた。

 

 

● 解 説

従業員が起こした事故の損害額について、会社が従業員に全額請求しても問題ないか?について、最高裁が初めて正面から取り組んだ事例です。

 

経営者の心情としては、「自分のミスについて、きちんと責任をとって欲しい。」というものになりますが、『権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない』という民法の信義則の考えで制限されました。

従業を雇い営利活動に従事させている状況で、その従業員が起こした事故の責任を全て無条件で負わせるのは信義則に反するということです。

 

なお、その程度については、以下の事柄に照らし、損害の公正な分担という見地から決まるとされ、今回の判例の“4分の1”という基準が全ての案件に当てはまるものではありません。

 

 

『その事業の性格、規模、施設の状況、従業員の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散について使用者の配慮の程度、その他諸般の事情』

 

今回のケースでは経営者が自動車保険にきちんと加入していなかったことも、配慮不足とみなされますし、そもそも保険に加入していれば、このような問題にまで発展しなかったと考えられます。

 

コストダウンも大切ですが、削るべきもの、残すべきものについては、慎重に判断する必要がありますね。

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