【判例】ワークフロンティ事件(残業代の放棄)

● 概 要

・会社は産業廃棄物の収集運搬を業とし、原告の従業員ら9名は正社員として雇用されていた。

・残業代の未払いについて労働基準監督署から是正勧告を受けた。

・会社は、時効にかかっていない2年分の残業代の内、6箇月分について支払うことを従業員に提示した。

・従業員らは、提案を受け入れて残りの残業代を放棄する合意書にサインをして提示された6箇月分の未払い残業代を受領した。

・その後、従業員らは、上記の合意が、そもそも労基法違反で無効であると主張し、残りの1年6箇月分について改めて請求し、訴訟を起こした。

・裁判所は、自由な意思による残業代の放棄であったとして、原告の主張を退けた。

 

● 解 説

この判例には、「固定残業制の妥当性」、「労働時間の算定方法」、「休職の取り扱い」など複数の争点があり、ほぼ労働者側の主張が認められています。

今回は、争点の中の一つであった「残業代の放棄」というものに絞ってご紹介します。

 

労働基準法は、「残業をさせた場合に残業代を払いなさい。」と強制しており、あらかじめ“残業代なし”と定めることは、労働者が了解していても認められません。

この解釈について今回の判決では、『残業代なしはダメだが、既に発生済みの残業代を、労働者が自由意思に基づき放棄することは問題ない。』と述べ従業員側の要求は退けられました。

 

重要なポイントは  自由意思 があったか?  ということになります。

今回のケースでは是正勧告を受けてから第三者である社労士が関与しルール作りから個別の説明まで担ったという経緯から、従業員が反論のできる状況下できちんと説明を受け、その上での合意であるから自由意思と見なされるという評価だったと思います。

 

従業員にとって不利益なことを求める場合、この自由意思というものが重視されますので、

実際に行う場合は丁寧な説明や情報開示、判断するための時間を与える等の配慮が大事です。

 

判決文を見ていると、ある一人の有休休暇の取り扱いが他の従業員も巻き込んだ感情的な対立に発展し、ユニオンの介入を招き、本来納得して放棄していたはずの残業代やその他の不備を全てほじくり返されるという最悪のストーリに陥っています。

難しい話をするときほど、相手の話を良く聴き、お互いの立場を思いやることが大事ですね。

普段からの関係作りの重要性を認識させられる事案です。

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