【判例】みちのく銀行事件

● 概 要

・当行は従業員数が約2000人規模の東証一部上場企業で、従業員の約73%加入するA労働組合

と約1%が加入するB労働組合があった。

・当行は年功序列型賃金体系であった。 収益は他行と比較すると劣っていた。

・また55歳以上の従業員の割合が12.2%に達しており他行に比べはるかに高い割合であった。

・よって従業員サイドも参加した委員会の中で人事制度、賃金体系の見直しの検討が進められた。

・この結果を受けて、当行は55歳以降の賃金を54歳当時の40~50%に減額するように各労働組合に要請した。

・A労働組合は同意し、B労働組合は同意しなかったが、当行は就業規則を改定し減額を実施した。

・B労働組合に加盟する従業員達が減額された給与の支払いを求めて訴えを起こした。

・最高裁で従業員サイドの主張が認められた。

 

 

● 解 説

会社の成長や外部環境の変化による賃金体系の定期的な見直しは、経営者として必ず考えておかなければならない重要の課題の一つですね。

今回の件は、年功序列の賃金体系のまま平均年齢の上昇を迎え、人件費の継続的な上昇に苦しめられたと想定できる銀行で起こった裁判の紹介です。

 

高裁では、銀行側の主張が認められていましたが、最高裁では以下のポイントより銀行の主張は合理的でないと判断され、残念ながら覆されてしまいました。

① 特定の層にのみ大きな負担を負わせていること

② その特定の層に対する代償処置が不十分であること

③ 別の年齢層(中堅層)の人件費が上がり、結果的に人件費総額が増加していること

(③は収益改善の必要性の主張に対する矛盾を指摘)

 

一方で、判決文には「もっとも賃金が減額されても、これに相応した労働の減少が認められるのであれば全体的にみた実質的な不利益は小さいことになる」とも書かれています。

所定労働時間の短縮や業務負荷の見直しなどを伴っていれば、結果は変わっていたかもしれませんね。

なにより5年先、10年先も視野に入れた人事戦略がとても大切であることを教えてくれる判例でした。

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